【商標】令和4年(行ケ)10122<本多> 「朔北カレー」事件
結合商標の分離・要部観察により本願商標「朔北カレー」のうち「朔北」部分を引用商標「サクホク」と比較して,非類似(商標法4条1項11号不該当)と判断し,類似(該当)と判断した拒絶審決を取り消した事例。
(判旨抜粋)
ア 外観
本願要部は「朔北」という2文字の漢字からなるのに対し、引用商標は「サクホク」の4文字の片仮名からなり、外観が明らかに異なる。
イ 称呼
本願要部の称呼は「さくほく」であり、引用商標の称呼も「さくほく」であるから、同一である。
ウ 観念
本願要部からは「北の方角」「北方の地」の観念を生じるものであるのに対し、「サクホク」は、辞書等に掲載されていない造語であって、特定の観念を生じないものであるから、観念が明らかに異なる。
エ 以上のとおり、本願要部と引用商標は、称呼が共通するものの、外観及び観念は明確に異なっているところ、需要者、取引者が「朔北」から引用商標である「サクホク」や引用商標の権利者を想起するというような取引の実情はなく、また、本願商標及び引用商標の指定商品において、需要者、取引者が、専ら商品の称呼のみによって商品を識別し、商品の出所を判別するような実情があるものとは認められず、称呼による識別性が、外観及び観念による識別性を上回るとはいえないから、本願商標及び引用商標が同一又は類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるとはいえない。そうすると、本願商標が引用商標に類似するとはいえない。
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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