知財高判(大合議)平成28年(ネ)10046【エルプラット事件】⇒上告不受理

「からなる」というクレーム文言が、他の添加剤等の成分が含まれる場合も包含されるのか否かが、特許請求の範囲の記載自体からは,いずれの解釈も可能であると判示したうえで、「のみからなる」と解釈した。
⇒非充足

=「からなる」が「のみ」に限定された裁判例~H11(ワ)3012、H14(ワ)25697、H20(ワ)10196、

Cf. 「からなる」が「のみ」に限定されなかった裁判例~H24(ワ)15621

(判旨抜粋)
…特許請求の範囲の記載の「オキサリプラティヌムの水溶液からなり」との構成要件Cは,オキサリプラティヌムと水のみからなる水溶液であるのか,オキサリプラティヌムと水からなる水溶液であれば足り,他の添加剤等の成分が含まれる場合も包含されるのかについて,特許請求の範囲の記載自体からは,いずれの解釈も可能である。そこで,構成要件Cについて は,本件明細書の記載及び出願の経過を参酌して判断する。…本件発明の課題は,公知の有効成分である「オキサリプラティヌム」について,承認された基準に従って許容可能な期間医薬的に安定であり,凍結乾燥物から得られたものと同等の化学的純度及び治療活性を示す,そのまま使用できるオキサリプラティヌム注射液を得ることであり,その解決手段…示したものである。…本件発明がオキサリプラティヌムと水のみからなる水溶液であって,他の添加剤等の成分を含まないことを意味する…。

https://www.ip.courts.go.jp/vc-files/ip/file/zen_28ne10046.pdf