【ドイツ】デュッセルドルフ高裁(2009年)「プリペイドカード事件」 2 U 51/08、InstGE11, 203

(本判決)「・・・国内においてこのために必要な手段の一部のみを実施する場合であっても、特許を侵害し得る…。…例えば、製造方法に国外で行われた第1の工程による一次製品の生産が含まれ、この中間製品が国内市場に持ち込まれ、最終製品の生産のための残りの工程が国内で行われる場合…には、使用者は自身(または第三者)がそれまでに国外で開始させた方法の使用が通常は自身に帰属することを受け入れなければならない。それは、使用者がこうした手段に依存し、国内でそれを利用し、自身のものとして採用するからである。…そうでなければ、使用者は難なく特許による保護を迂回することができてしまうだろう。使用者の行為は、いずれの国においても方法特許の侵害を構成しないことになってしまうだろう。…
…これを背景として、国外で行われた他の行為も国内の行為者に帰属する場合には、複数の必要な行為のいずれかが国内で行われれば、(ある方法)の実施行為を構成するのに十分となり得る…。国外で行われた行為の一部は、侵害者が国内において侵害の効果を有する自身の行為としてそれを採用している場合には、国内の行為として扱わなければならない。…ここで帰属を認めるために必要な関係は、問題とされる行為が国内市場に影響を与えることを目的とし、適合されていることである。」⇒侵害成立。

⇒デュッセルドルフ地裁は、オンライン視力検査判決(2020年)4a O 53/19でも、関連データは、ドイツ国外で被告がサーバーを利用して処理していた事案について、特許の対象である方法の技術効果は、患者がドイツ国内の自宅のコンピューター上で工程の最初の部分を実施した際に生じていたとして、侵害成立とした。(デュッセルドルフ高裁(2009年)プリペイドカード事件を引用し、正しいと評価した。)

https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/europe/ip/pdf/HE_Report_for_JETRO_Cross_Border_Infringement_of_Process_Patents_in_Germany_JP.pdf

 

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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