東京地判令和2年(ワ)13326,13331<柴田>
【エルデカルシトールを含有する前腕部骨折抑制剤】

*「用途」の新規性が否定された。

「投与対象をⅠ型骨粗鬆症患者に限定することは、乙1発明で想定されていた用途と評価されるべきであり、乙1発明との相違点になるとはいえない」

⇒進歩性欠如でなく、新規性欠如とした。
⇒拡大先願(29の2)の場面でも使えるため、有用な判示!!

(判旨抜粋)
投与される対象をⅠ型骨粗鬆症患者に限定する点について、本件優先日当時、女性における閉経後の最初の15~20年に生ずる、皮質骨と比較して海綿骨の過度かつ不均衡な現象を特徴とする骨粗鬆症をⅠ型骨粗鬆症として分類することが提唱されていた…。このように提唱されていたⅠ型骨粗鬆症は、骨粗鬆症の一種であることは明らかである。他方、本件明細書には、投与対象として、乙1発明が対象とする骨粗鬆症患者からI型骨粗鬆症患者を区別することによって生ずる効果等についての記載は一切ない。そうすると、投与対象をⅠ型骨粗鬆症患者に限定することは、乙1発明で想定されていた用途と評価されるべきであり、乙1発明との相違点になるとはいえない。

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/266/091266_hanrei.pdf

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
本件に関するお問い合わせ先:h_takaishi☆nakapat.gr.jp(☆を@に読み換えてください。)