東京高判平成9年(行ケ)87【仮撚加工法】事件<伊藤>

*主引例と副引例とを逆にした進歩性否定の審決は、拘束力違反

「主たる引用例を引用例1とした点で本件前審決と異なるものの、本件前判決の拘束力(行政事件訴訟法三三条一項)に反する違法」

Cf.H24(行ケ)10328と逆!!

(判旨抜粋)
前判決は、引用例2及び引用例1から本願発明を当業者が容易に発明することができたとはいえないとの理由で本件前審決を取り消し、本件前判決は確定したものであるから、本件審決をする審判官は、本件前判決の拘束力が及ぶ結果、本件前審決におけると同一の引用例から本願発明をその特許出願前に当業者が容易に発明することができたと認定判断することは許されず、この理は、本件審決の理由中で、本件前審決と異なり引用例1を主たる引用例とする場合であっても同様である。…
引用例Aと引用例Bの二つの引用例がある場合に、引用例Aを主たる引用例とするか、引用例Bを主たる引用例とするかは、ある発明が引用例A及び引用例Bとの関係で進歩性を有するか否かを判断するに際しての判断方法の問題にすぎない…。
そうすると、本願発明が引用例1及び引用例2に基づき容易に発明することができたとの本件審決の認定判断は、本件前審決と引用例を同じくするものであるから、主たる引用例を引用例1とした点で本件前審決と異なるものの、本件前判決の拘束力(行政事件訴訟法三三条一項)に反する違法なものといわざるを得ず、その点の違法が本件審決の結論に影響する…。

https://www.itohpat.co.jp/ip/385/

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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