東京高判平成15年(ネ)1223【生体高分子-リガンド分子の安定複合体構造の探索方法】<山下>

のみ品の間接侵害成立
「…を使用しない用途が社会通念上経済的、商業的ないしは実用的な用途であることを認めるに足り…ない」

*全範囲で専用実施権を設定しても,特許権者は差止請求権あり
=最判H16(受)997も同じ

(判旨抜粋)
SYBYLは…分子設計に必要な様々なツールを含んでいるとはいえ、FlexXが、分子設計において極めて重要な中心的な役割を果たしているものであることは、これまでに認定してきたことから優に認められ、FlexXを使用せずに分子設計をすることがほとんど考え難いことであることは、上記に認定したロ号方法の内容、機能から明らかである。
特許法101条2号の「その発明の実施にのみ使用する物」とは、その方法の発明に使用する以外の用途を有しない物との意味であり、「その発明の実施にのみ使用する物」との立証を覆すためには、その方法の発明に使用する以外の用途が抽象的にあることをいうだけでは足りず、その用途が社会通念上経済的、商業的ないしは実用的な用途であると認めるに足りるものであることを主張し立証することを要する…。しかし、SYBYLについては、…FlexX以外のソフトウエアを備えているとしても、SYBYLを分子設計以外の用途に使用することが実際上は考えられず、分子設計における、FlexXの上記のような重要性の下で、FlexXを使用しない用途が社会通念上経済的、商業的ないしは実用的な用途であることを認めるに足りる証拠は、本件全証拠を検討しても見いだすことができない。…FlexX(ロ号方法)を使用する場合において、疎水性相互作用のみを利用した安定複合体を探索するとの方法が、社会通念上、経済的、商業的ないしは実用的な用途であるとまでいうことはできず、FlexX(ロ号方法)は、相互作用として水素結合を含む安定複合体の探索方法にのみ使用されるものである…。

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/483/010483_hanrei.pdf

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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