平成17年(ネ)10052【電子的に検知可能で不作動化可能な標識】<飯村>

*本件明細書に記載された「貫通孔」の意義から…
⇒被告製品の「亀裂」は,絶縁層を薄くし,薄いポリエチレン部を形成する際に,偶発的に形成されたものであるから,構成要件Jの「貫通孔」に該当しない。

【請求項1】…予定短絡通路が,前記絶縁層(1)に設けた少なくとも1ケの貫通切込み又は貫通孔(11)で形成されている…共進ラベル

(判旨抜粋)
…本件明細書2の記載内容に照らすと,本件発明2は,放電を特定の位置に生じさせてラベルを非作動化させるために,特に 電極間の絶縁体の一定の場所を何らかの方法により切り開いて一定の大きさ,間隔で切込み又は孔を形成することにその特徴があるから,…「貫通切込み又は貫通孔」とは,電極間の絶縁層を切り開いて設けた開口を意味するものというべきである。そして,原判決は,「被告製品のクレーター状部を設ける際に,アルミニウム及びポリエチレン部に亀裂が生じ」と認定しているところ,ここにいう亀裂は,絶縁層を薄くし,薄いポリエチレン部を形成する際に,偶発的に形成されたものであるから,原判決の認定した「亀裂」が構成要件Jの「貫通孔」に該当するということはできない。

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/540/009540_hanrei.pdf

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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