平成20年(行ケ)10304【樹脂配合用酸素吸収剤】<滝澤>

 

*用途発明の実施可能要件

 

⇒用途の有用性を裏付ける程度に発明の目的,構成及び効果が記載されていることを要する。

 

⇒当該樹脂一般について,本件発明が所期する作用効果を奏することを裏付ける程度の記載が必要。

 

(判旨抜粋)

…本件発明のように,特定の用途(樹脂配合用)に使用される組成物であって,一定の組成割合を有する公知の物質から成るものに係る発明においては,一般に,当該組成物を構成する物質の名称及びその組成割合が示されたとしても,それのみによっては,当業者が当該用途の有用性を予測することは困難であり,当該組成物を当該用途に容易に実施することができないから,そのような発明について実施可能要件を満たすといい得るには,発明の詳細な説明に,当該用途の有用性を裏付ける程度に当該発明の目的,構成及び効果が記載されていることを要すると解するのが相当である。

さらに,本件発明は,その用途として,単に「樹脂配合用」と規定するのみであるから,本件発明について実施可能要件を満たす記載がされるべきである以上,発明の詳細な説明に,酸素吸収剤を適用する樹脂一般について,本件発明の酸素吸収剤を適用することが有用であること,すなわち,当該樹脂一般について,本件発明が所期する作用効果を奏することを裏付ける程度の記載がされていることを要すると解すべきである。

 

037906_hanrei.pdf (courts.go.jp)

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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