東京高判平成13年(ネ)2630【…補強杆】<篠原>
均等物が拡大先願と実質同一
⇒第4要件×
「④′の要件が…何人も実用新案登録を受けることができなったはずのものについて、登録実用新案の技術的範囲に属するものということができないとの考えに基づく」
⇒特許権者逆転負け
⇒他の特許要件は?
(均等物がサポート要件でも、均等論成立でよいのか?…という点は、議論すら見当たらない。)
(判旨抜粋)
…控訴人は、上記④′の要件(非公知技術)に関し、上記最高裁判決の根底にある考えは、均等論による登録実用新案の技術的範囲の拡張が当該実用新案登録の無効理由を含む結果となる場合には、そのような拡張は許されないというものであるところ、補強杆の上端の取付位置を台枠の側杆とする構成とこれを後杆とする構成が均等であるとすると、これによって技術的範囲が拡張された本件考案は先願明細書記載の考案と同一となり、実用新案法3条の2本文の規定に該当する無効理由を含むこととなるから、被控訴人の均等の主張は成り立たない旨主張する。
そこで、控訴人の上記主張について判断するに、上記④′の要件が、そもそも何人も実用新案登録を受けることができなったはずのものについて、登録実用新案の技術的範囲に属するものということができないとの考えに基づくものであることは前示のとおりであるところ、ある登録実用新案が、その出願日前の他の実用新案登録出願であって当該実用新案登録出願後に出願公開がされたものの願書に最初に添付した明細書又は図面に記載された考案と同一であるときも、実用新案法3条の2本文の規定により、当該考案は何人も実用新案登録を受けることができなかったはずのものであることに変わりはないから、このような場合には、上記④′の要件に規定する場合と同様、これを登録実用新案の技術的範囲に属するとすることは相当ではない。
したがって、対象製品が登録実用新案の先願に係る実用新案法3条の2本文に規定する明細書又は図面に記載された考案と同一である場合には、出願時における公知技術に準じ、対象製品が実用新案登録請求の範囲に記載された構成と均等なものとしてその登録実用新案の技術的範囲に属すると解することはできないというべきである。
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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