東京地判平成28年(ワ)10759【スクラブ石けんの製造方法】<佐藤>

 

*方法発明において、順序の限定がないと解釈された。⇒充足

 

*製造方法の使用を、証拠保全で立証した

 

*消滅時効の起算点は証拠保全の時

 

*進歩性、サポート要件、実施可能要件〇

<平成31年(行ケ)10060同旨>

 

 

(判旨抜粋)

 

【請求項1】 微粒火山灰に膨化処理を施した中空状のシラスバルーンを,界面活性剤を含有するアルカリ溶液に浸漬して,中空内部にアルカリ溶液を浸透させ,その後,アルカリ溶液に脂肪酸を添加することにより,前記シラスバルーンの外部において石けんを形成するとともに,中空内部にも石けんを形成するスクラブ石けんの製造方法

 

 

…被告らは,被告方法はシラスバルーンを界面活性剤を含有する水溶液に浸漬する方法であり,「アルカリ溶液に浸漬」していないから,構成要件1Bを充足しないと主張する。…しかし,構成要件1Bの文言は,その通常の意義に照らすと,シラスバルーンを「界面活性剤を含有するアルカリ溶液に浸漬」することにより,その「中空内部にアルカリ溶液を浸透」した状態にすることを意味すると解するのが自然である。…構成要件1Bには…添加の時点や順序に関する記載は存在しない…アルカリ溶液がシラスバルーンの内部に容易に浸入することができるのは,アルカリ溶液に界面活性剤を添加するからであると考えられ,シラスバルーンの投入時点でアルカリ溶液であるか,あるいは,シラスバルーンの投入後に水溶液にアルカリ剤を添加するかにより,その効果は左右されないというべきである。…以上のとおり,構成要件1Bの文言の通常の意味及び本件明細書等1の記載に照らすと,「界面活性剤を含有するアルカリ溶液に浸漬して,中空内部にアルカリ溶液を浸透させ,」とは,シラスバルーンを「界面活性剤を含有するアルカリ溶液に浸漬」することにより,シラスバルーンの「中空内部にアルカリ溶液を浸透」した状態とすることを意味すると解釈するのが相当である。

 

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/179/089179_hanrei.pdf

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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