東京地判平成15年(ワ)3552【水晶振動子】<髙部>
(請求項1)…保持容器の外周面の形状に適合する曲面を有する保持容器外周面位置決め用片…を設け…た…水晶振動子
*「…に適合する曲面」のクレーム解釈
⇒効果を奏する形状であれば足り、保持容器の外周面のの形状と一致することまでは要求されない。
(判旨抜粋)
【請求項1】 …保持容器の外周面の形状に適合する曲面を有する保持容器外周面位置決め用片…を設け…たことを特徴とする水晶振動子。
本件発明は,①製造時に水晶振動子本体が傾いてリード溶接が外れたりすることがなくなること,②実装時に保持容器をアースすることができ,水晶振動子をノイズに強い状態で使用しうることを目的とし,そのために,ⅰ)外周面位置決め用片と保持容器頂面位置決め用片により水晶振動子本体を位置決めしてモールドするとともに(構成要件D),ⅱ)前記外周面位置決め用片ないし保持容器頂面位置決め用片を水晶振動子本体アース用外部端子としたことを特徴とするもの(構成要件E)である。
したがって,構成要件Bの外周面位置決め用片の形状も,水晶振動子が傾かないように位置決めできるもので,かつアース用外部端子の役割を果たせるものでなければならず,そのような形状であればその目的を達するものである。すなわち,外周面位置決め用片は,モールド時に,水晶振動子が傾かないように,保持容器の外周面に適合する曲面を有すること及びアース用外部端子の役割を果たせるように保持容器に接触していることが必要であるが,水晶振動子を支えられる形状であれば足り,外周面の形状と一致することまでは要求していないものと解される。
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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