大阪地判平成14年(ワ)6178【重炭酸透析用人工腎臓灌流用剤】<小松>

(請求項7)…複数個の塩化ナトリウム粒子が該コーティング層を介して結合した造粒物からなる…人工腎臓灌流用剤

*「からなる」のクレーム解釈
⇒効果を奏する程度に造粒物が形成されていれば足りる
⇒充足

(判旨抜粋)
…本件発明は、人工腎臓灌流用剤に用いられるA剤の形態として、輸送コスト、保管スペース、容器の廃棄物処理等の問題点を有するもの(溶液状のもの)ではなく、粉末状のものとすることを選択した上で、A剤の粉末化技術として公知の造粒法を採用した場合の異物混入、成分組成のばらつき等の問題点を解決するために、その特許請求の範囲(請求項7)所定の各電解質化合物を必須成分として含有する、均一な組成の「コーティング」を形成し、当該コーティング層を結合材として塩化ナトリウム粒子同士を結合させることにより、その各成分割合がほぼ一定の特定の値となるA剤を得ることができるようにしたものである…。
…そうすると、本件発明の構成要件A、Bにいう「コーティング層」とは、上記の作用効果を奏する程度に、塩化ナトリウム粒子の表面がコーティングされていれば足り(被告らの主張に係る均一性の要請もこの限度で満たされれば足りる。)、完全に(100%)又はほぼ完全に覆われている状態であることまで要するものではなく、同様に、同構成要件Bにいう「からなる」も、上記の作用効果を奏する程度に、複数個の塩化ナトリウム粒子が該コーティング層を介して結合した造粒物が形成されていれば足り、単独の塩化ナトリウム粒子が一切含まれないことまで要するものではないというべきである。

https://tokkyo.hanrei.jp/hanrei/pt/1191.html

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
本件に関するお問い合わせ先:h_takaishi☆nakapat.gr.jp(☆を@に読み換えてください。)