大阪地判平成28年(ワ)2688【ボールボンディング用被覆銅ワイヤ】

*不純物の許容範囲は、本件発明の課題を解決できる範囲
⇒許容されるPdの含有割合は約2%

「パラジウムの混入が約2%以内であれば…各金属の融点の高低関係を利用した本件各発明の課題解決原理が妥当する…」

(判旨抜粋)
…中間の被覆層にパラジウムを用いる場合には,…パラジウムの含有割合が増加するに連れて約1064℃より高くなっていき,パラジウムの含有割合が約2%を超えると銅固有の融点である約1085℃より高くなること…に照らせば,金(Au)により形成した表面の被覆層に内側の被覆層のパラジウム(Pd)が約2%より多く混入すると,各金属の融点の高低関係を利用した本件各発明の課題解決原理が妥当しないこととなる。他方,パラジウムの混入が約2%以内であれば,金とパラジウムの合金の融点は銅(Cu)の融点よりも低く,かつ,前記のような金とパラジウムの合金の融点は金(Au)とパラジウム(Pd)の各固有の融点が反映したものであるから,各金属の融点の高低関係を利用した本件各発明の課題解決原理が妥当するといえる。したがって,中間の被覆層にパラジウム(Pd)を用いる場合において,「金(Au)の表皮層」たるためには,必ずしも金(Au)のみからなる層である必要はないが,被告が予備的に主張するとおり,パラジウム(Pd)の混入が約2%までの層である必要があると解するのが相当である。

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/033/088033_hanrei.pdf

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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