東京地判平成15年(ワ)19324【ブラニュート顆粒の製造方法】<三村>

出願経過も考慮して、
「…30℃~0℃に調節」
とは、
「何らかの手段によって押出造粒機に供給する練合物の温度を30ないし0℃にするような積極的な温度調節を行うこと」を意味すると解釈された。
⇒非充足

【請求項1】…押出造粒機に供給する練合物の温度を30℃~0℃に調節することを特徴とする…医薬用顆粒の製造方法。

(判旨抜粋)
…無効審決…においては,本件第2特許発明の範囲における「押出造粒機に供給する練合物の温度を30℃~0℃に調節する」とは,単に「押出造粒機に供給する練合物の温度が30℃~0℃である」という状態を意味するのではなく,例えば造粒機に供給される練合物の温度が検知され,設定温度範囲を維持するに必要な処理がなされることをいうのであって,そうでなければ「調節」しているとはいえないとされ,このような解釈に従って,本件第2特許発明は,温度が自然に30ないし0℃に保たれる場合もあり得るが積極的な温度調節を行うことについて何ら開示のない先行技術とは区別されるものであり,このような先行技術によって本件第2特許発明の新規性が否定されることはないとされたものである。
上記のような経緯に照らせば,…「押出造粒機に供給する練合物の温度を30℃~0℃に調節する」とは,「温度調節の手段を備える」ことを必須とするとまではいわないとしても,少なくとも何らかの手段によって押出造粒機に供給する練合物の温度を30ないし0℃にするような積極的な温度調節を行うこと(例えば,練合時の水の温度をかなり低めに設定するなど)を意味し,練合物の温度が作業環境によって自然に30ないし0℃に保たれるような場合は,これに該当しない…。

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/779/009779_hanrei.pdf

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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