東京地判平成14年(ワ)9503【核酸増幅反応モニター装置】

同一出願人の後願明細書の記載を参酌しなかった事例
⇒侵害

※差止請求認容による不作為義務は被告製品全体であるが、解析コンピュータ及びカラープリンターは汎用製品であることを理由に、廃棄対象から除外された。

(判旨抜粋)
被告は,本件後願の明細書において,本件特許の優先権主張の基礎となった米国出願の明細書に記載された装置が光学系として光ファイバーを使用するのに対し,本件後願の発明に係る装置は光ファイバーを使用せず,かつ,光学系としてCCDカメラを使用するという点で優れていると強調していることから,本件発明の技術的範囲は,光学系として光ファイバーを使用し,かつ,CCDカメラを使用しないものに限定され,本件においてこれに反する主張をすることは信義則等に反し許されないと主張する。
しかし,本件発明の技術的範囲は,本件明細書の特許請求の範囲の記載に基づいて定めることを要し,その際に発明の詳細な説明の記載や図面を斟酌することはできるが,本件特許出願と別個の特許出願である本件後願の明細書の記載を斟酌することには合理的な理由がない。また,仮に本件発明における「光学系」の意義について,本件後願の明細書の記載において異なる説明がされていたとしても,本件においては,その点が禁反言の原則や信義側に反するということもできない。

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/162/011162_hanrei.pdf

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
本件に関するお問い合わせ先:h_takaishi☆nakapat.gr.jp(☆を@に読み換えてください。)