平成31年(ネ)10009【薬剤分包用ロールペーパ】<大鷹>
「~に用いられる」という文言は、『用いることが可能な』を意味するものであり、実際に「~」に使用されなくても充足

大阪地裁平成30年(ワ)3461
「…に装着可能な分包紙ロール…」というクレームで「装着可能」の充足性は問題にすらならなかった!

⇒別被告の平成31年(ネ)10031<森>同旨

*H30(ワ)13400「アンテナ」事件は「~用」を実際に用いられるものと解釈した。⇒非充足

(判旨抜粋)
本件訂正発明の特許請求の範囲(請求項1)の記載によれば,本件訂正発明は,構成要件AないしDの構成から成る『薬剤分包用ロールペーパ』(構成要件E)の物の発明であり,構成要件Aには,薬剤分包装置に関する事項が,構成要件B及びDには,『薬剤分包用ロールペーパ』の『中空芯管』,『ロールペーパ』及び『複数の磁石』(以下,これらを併せて『本件ロールペーパ等』)に関する事項が,構成要件Cにはその両者に関する事項がそれぞれ記載され,構成要件Aにおいて,薬剤分包用ロールペーパが薬剤分包装置に『用いられ』るものとして記載されている。
そして,構成要件A…にいう『用いられ』の用語については,『られる』の助動詞は,受け身とともに可能を示すものであること,物の発明の特許請求の範囲の記載は,物の構造,特性等を特定するものとして解釈すべきであることに鑑みると,『用いることが可能な』を意味するものと解するのが自然である。
次に,本件明細書には,構成要件Aの『薬剤分包装置に用いられ,』にいう『用いられ』の用語を定義した記載はなく,また,上記解釈に抵触する記載もない。
そうすると,構成要件Aの『用いられ』とは,『用いることが可能な』を意味すると解するのが相当である。

※同じ当事者の大阪地裁平成30年(ワ)3461は、「磁気検出手段を備える薬剤包装装置に装着可能な分包紙ロールであって…」というクレーム文言で、「装着可能」の充足性は問題にすらならなかった。

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https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/185/090185_hanrei.pdf

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
本件に関するお問い合わせ先:h_takaishi☆nakapat.gr.jp(☆を@に読み換えてください。)