大阪地判平成15年(ワ)13703【頭髪処理促進装置】<山田>

「半円形状」というクレーム文言解釈

⇒明細書中の2つの効果との関係では、半円弧状が「完全」か否かということには意味がない

⇒完全な半円形状でなくても、ほぼ同一で発明の効果を奏する略半円形状も含む

⇒充足

(判旨抜粋)
…構成要件B及びCの構成によって奏されるべき効果に鑑みれば、構成要件Bでいう「半円形状」のヒータ及び発熱装置とは、中心角が180度の「完全な」半円弧状のもののみを指すものではなく、これとほぼ同一で、上記効果を奏することができるようなものであれば、わずかに中心角が180度に満たないものや、部位ごとにわずかに半径が異なるものといった、略半円弧状のものも含むものと解すべきである。
すなわち、…加熱の対象(施術中の被施術者の頭髪)が完全な半球状ではないため、ヒータの半円弧状をどれだけ「完全な」ものにしても、厳密な意味で被施術者の頭髪を均一にムラなく加熱することは原理的にも実際的にも不可能であって、そうである以上、ヒータの形状については、半円弧状が「完全」か否かということには意味が存在しないこともまた自明だからである。
また、発熱装置の形状についていえば、動作時の必要空間を小さくする目的は…理美容室における施術者の作業性の向上であるから、これもまた、「完全な」半円弧状でなければならないものではないからである。
したがって、構成要件Bでいう「半円形状」とは、上記のとおり、完全な半円弧状に限らず、これとほぼ同一で、上記効果を奏するような略半円弧状を含むものと解するのが相当である。

https://tokkyo.hanrei.jp/hanrei/pt/267.html

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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