東京地判平成12年(ワ)12193【窒化ガリウム系化合物半導体発光素子】<三村>

 

*「~を含まない」

⇒微量に含む場合で、非充足

 

「元素としてのAl及びCrそのものを本件特許発明の構成要素から排除することを意図した」

 

東地H12(ワ) 22926も非充足

東地H24(ワ)14227は「実質的に含まない」で微量を充足

 

 

(判旨抜粋)

【請求項1】 …前記p層とのオーミック接触を阻害するAlもしくはCrを含まないことを特徴とする窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。

 

…本件明細書には,このような問題を解決する具体的手段として,「パッド電極の材料について数々の実験を重ねた結果,パッド電極に特定の元素を含まず,Auを含む電極金属を使用すること」…が見出された旨の記載がある。…本件特許発明の発明者ないし出願人は,ボンディング用電極におけるAl若しくはCrの存在がp層とのオーミック接触を阻害する原因になるとの認識に立った上で,元素としてのAl及びCrそのものを本件特許発明の構成要素から排除することを意図したとみるのが自然であり,したがって,構成要件④においてAlについて付された「オーミック接触を阻害する」との文言は,Alの属性についての発明者ないし出願人の認識を表したものであって,「Al」に特段の限定を加える趣旨のものではない(すなわち,構成要件④における「Al」は元素としてのAlそのものを指す。)と解するのが相当である。

そうであれば,最表面に酸化状態で微量存在することが認められるにとどまるとはいっても,被告チップに現にAlが存在することが認められる以上,被告チップは,構成要件④を充足せず,本件特許発明の技術的範囲に属しない…。

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/998/011998_hanrei.pdf

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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