平成31年(ネ)10006【敗血症及び敗血症様全身性感染の検出のための方法】<鶴岡>

 

*従来技術が本件発明に含まれると解することはできない

 

「『本発明』は,かかる従来技術に対して新規のものである旨が記載されていること…からすると,かかる従来技術が本件発明に係る方法に含まれると解することはできない。」

 

⇒公知技術除外理論

⇒無効の抗弁とは全く異なり、現在も超重要理論!!

⇒当該構成要件以外で進歩性が認められる場合であっても、非充足となる。(特許法70条2項の問題。)

 

 

 

(判旨抜粋)

【請求項1】患者の血清中でプロカルシトニン3-116を測定することを含む,敗血症及び敗血症様全身性感染を検出するための方法

 

…特許請求の範囲及び本件明細書の記載事項を総合すると,「患者の血清中でプロカルシトニン3-116を測定すること」とは,患者の血清中のプロカルシトニン3-116の量を明らかにすることを意味するものと解される。…

これに対し控訴人は,…プロカルシトニン3-116を敗血症の検出に必要な精度で測定することをいうと解すべきであり,プロカルシトニン1-116と区別してプロカルシトニン3-116を測定することを必須とするものではない旨主張…。

しかしながら,…患者の血清中のプロカルシトニン3-116をプロカルシトニン1-116等と区別することなく測定することとは,患者の血清中のプロカルシトニンを測定することと同義であるところ,本件明細書には,患者の血清中のプロカルシトニン濃度を測定することにより敗血症等を検出する技術は,本件出願の優先日前に従来技術として存在したものであり,「本発明」は,かかる従来技術に対して新規のものである旨が記載されていること…からすると,かかる従来技術が本件発明に係る方法に含まれると解することはできない。

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/685/088685_hanrei.pdf

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
本件に関するお問い合わせ先:h_takaishi☆nakapat.gr.jp(☆を@に読み換えてください。)