東京地判令和3年(ワ)13905【…エリブリンの使用】<柴田>

*特許があるから厚労省の製造承認、薬価収載の蓋然性は高くない
⇒後発品に対する”将来”の差止不存在確認請求は、訴えの利益なし

*”現在”の製造(試験研究)は、非侵害・権利行使意図なしで訴えの利益なし。
⇒訴え却下

(判旨抜粋)
本件において、近い将来において、原告医薬品の製造販売についての厚生労働大臣の承認がされ、原告医薬品の薬価基準への収載がされる蓋然性が高いとは認められず、ひいては、原告が原告医薬品を製造販売する蓋然性が高いとは認められない…。近い将来において、原告と被告らとの間に、被告エーザイRDの原告に対する本件各特許権による差止請求権及び被告らの原告に対する本件各特許権の侵害を理由とする不法行為による損害賠償請求権が存在しないことについて法律上の紛争が発生することは何ら確実ではなく、現時点において、原告の有する権利又は法律的地位に危険又は不安が存在しているとは認めるに足りない。
したがって、原告の被告らに対する、将来において原告医薬品が薬価基準に収載された場合に、被告エーザイRDが原告に対し本件各特許権による差止請求権を有しないこと、被告らが原告に対し本件各特許権の侵害を理由とする不法行為による損害賠償請求権を有しないことの確認を求める訴えは、確認の利益を欠くものというべきである。

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/454/091454_hanrei.pdf

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
本件に関するお問い合わせ先:h_takaishi☆nakapat.gr.jp(☆を@に読み換えてください。)