東京地判令和2年(ワ)8506【電気工事作業に使用する作業用手袋】<佐藤>

 

原告は…「凹凸」が意図して形成されたものであることを要するとした上で,当該凹凸は,製造上不可避に生じる「表面粗さ」にすぎないと主張する。しかし,…乙1手袋の表面には…凹凸が製造上不可避に生じたものということはできず,意図して形成された」

⇒公然実施は、意図して形成された必要がある?

 

 

 

独占的に販売しても、「第三者に開示された」といえ、公然実施となる。(※秘密保持契約を認める証拠なし)

 

公然実施品の表面の凹凸は、意図して掲載された。

 

その他、クレーム文言上限定がない諸点は、相違点ではない。

 

 

(判旨抜粋)

 

【請求項1】…生地体の繊維や目部に沿って凹凸が形成されている ことを特徴とする電気工事作業に使用する作業用手袋。

 

原告は,乙1製品の設計が東北電力の作業員の要求に基づいたものであるとして,東北電力は共同開発者に当たると主張する。 しかし,東北電力は,従前の製品のサイズの見直しについて,その作業員から意見や要望を集約し,その結果を被告ヨツギに伝えていたにすぎず,他に東北電力が被告ヨツギと共同して乙1製品を開発したと認めるに足りる証拠はない。…

原告は,東北電力は,乙1製品の独占的な購入者であり,商慣習上,乙1発明の内容を第三者に開示することはないと主張する。しかし,原告の主張するような商慣習があったことを認めるべき証拠は存在せず,被告ヨツギは,これを東北電力に販売し,その所有権を譲渡しており,東北電力が,その購入した製品の構成について,第三者に開示しないという義務を負っていたと認めるに足りる証拠はない。実際のところ,乙1製品は,東北電力の現場の作業員に使用されていたのであるから,乙1発明の内容は第三者に開示されていたものというべきである…

原告は,構成要件Hの「凹凸」が意図して形成されたものであることを要するとした上で,当該凹凸は,製造上不可避に生じる「表面粗さ」にすぎないと主張する。しかし,…乙1手袋の表面には,その中間部に存在する編み物により形成された網目状の模様が認められ,生地体の繊維や目部に沿って凹凸が形成されているのであるから,その凹凸が製造上不可避に生じたものということはできず,意図して形成されたものというべきである。…

原告は…と主張する。しかし、…構成要件Eは,…に限定していない。

 

 

090942_hanrei.pdf (courts.go.jp)

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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