令和2年(行ケ)10004【骨粗鬆症治療剤ないし予防剤】<菅野>

=令和2年(行ケ)10038<菅野>

 

*投与対象患者の限定(50以上80未満)が容易想到

 

審議結果報告書は,腎機能障害の程度を,クレアチニンクリアランスを指標として,「80以上」,「50以上80未満」,「30以上50未満」及び「30未満」と区分している。

 

(判旨抜粋)

…本件条件(4)が,骨粗鬆症の患者群の一部を構成する,本件3条件の全てを満たす患者群を取り出して,当該患者群に対する安全性を確認したにすぎないものである以上,本件3条件と本件条件(4)とはその目的を異にする独立の条件であると理解できる。原告は,本件4条件が有機的に結合した一体のものである旨主張するが…採用することはできない。…

…重度の腎機能障害患者を除くと明記された甲7文献の記載に接した当業者であれば,甲7発明の投与対象患者に軽度又は中等度の腎機能障害を有する患者が相当程度含まれていると認識する…。さらに,…骨粗鬆症治療薬についても腎機能障害を有する患者における安全性の確認が求められていたことが明らかであるから,甲7発明に接した当業者が,投与対象患者の腎機能に着目することは,当業者が当然に行うべきこととして格別なものではない。…

甲10文献では,「軽度」 の腎機能障害を有する患者は,「GFR50~79ml/分」の患者であると定義され,クレアチニンクリアランスが50ないし79ml/分である患者を,軽度腎機能障害を有する患者としている。…審議結果報告書…には,腎機能障害の程度を,クレアチニンクリアランスを指標として,この値に沿って,「80以上」,「50以上80未満」,「30以上50未満」及び「30未満」と区分している…。…そうすると,甲7発明の投与対象患者の中から,…「50以上80未満ml/min」の者をその投与対象とすることは,当業者であれば何ら困難を要しないものである。

 

 

090548_hanrei.pdf (courts.go.jp)

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
本件に関するお問い合わせ先:h_takaishi☆nakapat.gr.jp(☆を@に読み換えてください。)