平成31年(ネ)10007【…異常発生時にラダー回路を表示する装置】<菅野>

既存部品を組み合わせた発明において、其々の既存部品(プログラマブル表示器本体とそのOS)が、両方共不可欠品と認定された。
⇒間接侵害101条2号成立

原審/大阪地判平成27年(ワ)8974も101条2号成立

(判旨抜粋)
(エ)被告製品3について
被告製品3は、拡張/オプション機能OSのうちの回路モニタ機能等部分を格納しており、これが被告表示器Aにインストールされることによって、被告表示器Aにおいて回路モニタ機能等の使用が可能となるものである。そして、被告製品3の回路モニタ機能等部分とこれを除く他の部分とは、物理的にかつ機能的にも一体性を有するものと認められる。
そうすると、被告製品3は、全体として、本件発明1の特徴的技術手段を直接もたらす特徴的部品であると認められる。
したがって、被告製品3は本件発明1の課題解決不可欠品に当たる。
(オ)被告表示器Aについて
本件発明1が新たに開示する特徴的技術手段である、異常発生時のタッチによる接点検索との構成は、被告表示器Aと被告製品3の双方があって初めて実現し得る構成である。そして、一審被告が自認するとおり、回路モニタ機能等を実現するために被告表示器AにインストールできるOSは被告製品3のみであり、同機能の実現のために被告製品3がインストールできる表示器は被告表示器Aのみであるから…、上記構成を実現するように被告表示器Aが機能し得るのは、被告製品3のOSがインストールされた場合であり、かつ、その場合に限る。その上、被告表示器Aと被告製品3は、いずれも一審被告が生産、販売するものであり、一審被告は上記のような構成を熟知し、あえてこのような構成を選択し、かつ、顧客に両者を提供しているものといえる。
以上からすると、被告表示器Aと被告製品3とは、たまたま物理的に別個の製品とされたことにより、一つの機能が複数の部品に分属させられているものの、本来的には、被告表示器Aは、被告製品3と機能的一体不可分の関係にあるものであって、独立した製品とされていたとしても、本件発明1の特徴的技術手段を直接もたらす特徴的部品等を構成するものであるというべきである。したがって、被告表示器Aは本件発明1の課題解決不可欠品である。

https://www.ip.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail?id=5833

 

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執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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