平成30年(行ケ)10055<鶴岡>【散乱光式煙感知器】

 

*主引用例が技術的に誤っている

⇒引用例の認定誤り

 

「記載④を記載③及び記載⑤と整合的に説明することはできない…。そうすると、当業者は,甲1文献から…という技術的思想を認識することはできない…。」

 

(判旨抜粋)

甲1文献の記載…①…、②…、③ レイリーの理論から,浮遊粒子の所与の質量濃度において,長波長光は,小さな粒子の場合に小さな振幅信号(a low amplitude signal)を生成し,大きな粒子の場合に大きな振幅信号(a large amplitudesignal)を生成することになる。④ 短波長光は,大小の粒子いずれの場合にも,相対的に等しい振幅信号(a relatively equal amplitude signal)を生成することになる。…,⑤ 「したがって,信号の比を比較することにより(by comparing theratio of the signals),粒子が大きいか小さいかを判定することができる。」…これによれば,「信号の比」(記載⑤)における「信号」は,「長波長光」が生成する「振幅信号」(記載③)と,「短波長光」が生成する「振幅信号」(記載④)であり,「信号の比」とは,長波長光が生成する振幅信号と短波長光が生成する振幅信号の比であると理解することも文脈上は可能であるようにみえる。…そこで,このような理解を前提に,本件記載を技術的に理解することができるかについて検討する。…

結局,記載④を記載③及び記載⑤と整合的に説明することはできないものといわざるを得ない。そうすると,当業者は,甲1文献から,引用発明の争いのない構成において「長波長光からの振幅信号と短波長光からの振幅信号との比を比較することにより煙粒子の大きさを判定」するという技術的思想を認識することはできないものというべきである。    http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/847/088847_hanrei.pdf

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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