平成22年(行ケ)10237<滝澤>【水処理装置】

 

「判例タイムズ」は、引用例選択の容易性を論証する必要があると解説している。

 

しかし、

 

判決は、引用発明が「水熱反応処理」であり、本件発明の「水処理」の範疇に含まれないという、一致点・相違点の判断誤りとしている。…

 

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*補正却下されたが、限定的な文言解釈が認められた

*[水処理装置]と[水熱反応装置]は、水の役割が異なり技術分野も異なり容器内の圧力状態や温度状態も異なることから、一致点でないと判断した

 

(判旨抜粋)

被告は,原告が本件補正に際し,「圧力容器」を「圧力容器(水の超臨界状態及び亜臨界状態における水熱反応用の容器を除く)」と補正し,引用発明と技術分野が異なることを明確にした旨主張したこと,本件審決が本件補正を却下したことについて争っていないことから,本願発明は,超臨界状態及び亜臨界状態を含むと主張する。

しかし,本件出願過程において,…拒絶理由通知書に対し,原告は,引用発明は,超臨界又は亜臨界状態の高温高圧の状態であるのに対し,本願発明は,水の超臨界状態における反応ではなく,オゾンを利用した水処理装置であるなどとして,両者が異なることを意見書で説明した。しかるに,その意見書を採用できないとし,本願発明に,超臨界又は亜臨界状態において反応させる水処理装置を含むとして,拒絶査定を受けたことから,不服審判請求をするとともに本件補正を行ったものである。このような本件補正の経過に照らすと,原告は,もともと本願発明には超臨界又は亜臨界状態における反応は含まないという見解であったが,拒絶査定に対応して,いわゆる除くクレームにより,これを明確化したにすぎないものと解され,本件補正をしたことや補正却下の判断を争わなかったことから,直ちに本願発明が超臨界状態及び亜臨界状態を含むということはできない。

https://www.ip.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail?id=2540

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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