平成30年(行ケ)10041<鶴岡>【地殻様組成体の製造方法】①

 

*引用文献にひとまとまりの具体的な技術的思想が記載されている必要あり。

 

(判旨抜粋)

…進歩性の判断に際し,本願発明と対比すべき特許法29条1項各号所定の発明は,通常,本願発明と技術分野が関連し,当該技術分野における当業者が検討対象とする範囲内のものから選択されるところ,同条1項3号の「刊行物に記載された発明」は,当業者が,出願時の技術水準に基づいて本願発明を容易に発明をすることができたかどうかを判断する基礎となるべきものであるから,当該刊行物の記載から抽出し得る具体的な技術的思想でなければならない。…引用文献は,その表題から,放射性物質が検出された下水汚泥焼却灰等の処分に向けた検討状況を1枚の資料にまとめたものと認められる。…

引用文献には,放射性物質が検出された下水汚泥をどのように焼却するか,下水汚泥焼却灰はどの程度の放射性物質を含むものであるか,下水汚泥焼却灰をセメント原料化する際,できる限り影響が小さくなるようにどのような対策をするのか等,下水汚泥焼却灰を処分するに当たっての具体的な方法,手順,条件など,技術的思想として観念するに足りる事項についての記載は一切存在しない。そうすると,引用文献には,単に放射性物質が検出された下水汚泥焼却灰等の処分に向けた方針,及び当該方針に関する有識者の意見が断片的に記載されているにすぎず,下水汚泥焼却灰等の安全な処分方法というひとまとまりの具体的な技術的思想が記載されているとはいえない。

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/174/088174_hanrei.pdf

 

 

https://system.jpaa.or.jp/patent/viewPdf/3401

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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