平成28年(行ケ)10152【電荷制御剤】<森>

<明確性要件>
引用例の追試×
~原料及び製造した物の同一性否定

被告は,甲1発明に係る特許出願…の前から「T-77」の製品名で鉄錯塩化合物を販売していたが,これまで「アイゼンカラーT-77」という製品名のものを販売したことはない…。

(判旨抜粋)
【請求項1】…金属錯塩化合物をイオン交換水に1重量%分散させたときの電気伝導度が110μS/cm以下である…電荷制御剤。

<明確性要件>
…異なる分散条件を採用した測定試料1と2の間での電気伝導度の差は,1μS/cmにすぎないから,この実験結果は,分散方法が異なる場合であっても,測定される電気伝導度の値に格段の差が生じ得ないことを示すものであるということができる。

<進歩性>
…被告は,甲1発明に係る特許出願…の前から「T-77」の製品名で鉄錯塩化合物を販売していたが,これまで「アイゼンカラーT-77」という製品名のものを販売したことはない…。…甲4実験を行った中国法人が,1999年(平成11年)4月頃に「アイゼンカラーT-77」を購入し,それを甲4実験の時期まで保管してきたとの事実を認めることはできない…。…甲4実験で使用された原料が,甲1に記載された「アイゼンカラーT-77」と同一の製品であると認めることはできない。

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/017/087017_hanrei.pdf

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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