平成25年(行ケ)10275【加硫ゴム組成物】<石井>

本件発明の課題を認識しなくても、本件発明の「構成」に容易に想到できれば進歩性×

「本件発明1の構成に至ることを合理的に説明することができれば足り,本件発明1の課題を認識するなど,実際に本件発明1に至ったのと同様の思考過程を経る必要はない」

(判旨抜粋)
被告は,甲1文献ないし甲3文献には,化学変性ミクロフィブリルセルロースを含有する加硫ゴム組成物における転がり抵抗特性,操縦安定性及び耐久性の性能バランスの改善という本件発明1の課題は開示されておらず,かかる課題の解決のために天然ゴム等のゴム成分を用いることの示唆等もない以上,当業者が本件発明1の構成を容易に想到し得たとはいえない旨主張する。…しかしながら,…甲3文献の記載によれば,変性ミクロフィブリルセルロースを用いることによる分散性の改善という課題の解決は,各種製品の材料として慣用される様々なポリマー等の疎水性媒体一般に妥当するものと理解することができるから,甲3発明Aのスチレン-ブタジエンコポリマーを天然ゴム等の周知のゴム成分に置換することの動機付けが存在するということができる。なお,本件発明1の容易想到性を判断するに当たっては,甲3発明Aから本件発明1の構成に至ることを合理的に説明することができれば足り,本件発明1の課題を認識するなど,実際に本件発明1に至ったのと同様の思考過程を経る必要はないというべきである。

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/497/084497_hanrei.pdf

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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