平成22年(ネ)10001【モータ】<中野>

*国際裁判管轄

「譲渡の申出行為」について,申出の発信行為又はその受領という結果の発生が客観的事実関係として日本国内においてなされたか否かにより,日本の国際裁判管轄の有無が決せられる。

⇒被告の日本での営業活動が認定された。

(判旨抜粋)
…国際裁判管轄の有無に関して斟酌される民訴法5条9号の適用において,不法行為に関する訴えについて管轄する地は「不法行為があった地」とされているが,この「不法行為があった地」とは,加害行為が行われた地(「加害行為地」)と結果が発生した地(「結果発生地」)の双方が含まれると解されるところ,本件訴えにおいて控訴人(一審原告)が侵害されたと主張する権利は日本特許第3688015号であるから,不法行為に該当するとして控訴人が主張する,被控訴人(一審被告)による「譲渡の申出行為」について,申出の発信行為又はその受領という結果の発生が客観的事実関係として日本国内においてなされたか否かにより,日本の国際裁判管轄の有無が決せられることになると解するのが相当である。…
被控訴人が英語表記のウエブサイトを開設し,製品として被告物件の一つを掲載するとともに,「Sales Inquiry」(販売問合せ)として「Japan」(日本)を掲げ,「Sales Headquarter」(販売本部)として,日本の拠点(東京都港区)の住所,電話,Fax番号が掲載されていること,日本語表記のウエブサイトにおいても,「Slim ODD Motor」を紹介するウエブページが存在し,同ページの「購買に関するお問合せ」の項目を選択すると,「Slim ODD Motor」の販売に係る問い合わせフォームを作成することが可能であること,控訴人営業部長が,被控訴人の営業担当者がODDモータについて我が国で営業活動を行っており,被告物件が…において,製品(ODD)に搭載すべきか否かの評価の対象になっている旨陳述書で述べていること,被控訴人の経営顧問Aが,その肩書と被控訴人の会社名及び東京都港区の住所を日本語で表記した名刺を作成使用していること,被告物件の一つを搭載したDVDマルチドライブが国内メーカーにより製造販売され,国内に流通している可能性が高いことなどを総合的に評価すれば,控訴人が不法行為と主張する被告物件の譲渡の申出行為について,被控訴人による申出の発信行為又はその受領という結果が,我が国において生じたものと認めるのが相当である。…

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/702/080702_hanrei.pdf

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
本件に関するお問い合わせ先:h_takaishi☆nakapat.gr.jp(☆を@に読み換えてください。)