平成19年(行ケ)10430【高純度アカルボース】<塚原>

 

*数値範囲の「物」を製造できたことに技術的意義を認めた。

 

*H19(ワ)26761は、同特許発明の新規性及び実施可能要件を否定した。

 

=H29(行ケ)10117…イムノクロマトグラフィー試験デバイス

=H3(行ケ)8光学活性置換ベンジンアルコール

 

 

(判旨抜粋)

「【請求項1】 水とは別に約93重量%以上のアカルボース含有量を有する精製アカルボース組成物。」

 

…甲2に記載された精製法が,本件発明で規定する純度を達成可能なものであることは何ら示されていない。…そして,本件発明で規定する純度を達成可能な精製法を開示した証拠も存在しない。したがって,たとえ課題や動機が存在していたとしても,本件優先日前に,本件発明で規定する純度を達成可能とする手段は公知ではなかったことから,本件発明で規定する純度のものを得ることは,当業者といえども容易には行い得なかったものと認められる。さらに,原告は,…純度を93%以上とすることによる特段の作用効果が認められない,と主張する。しかしながら,それまで技術的に達成困難であった純度を達成できたことは,それ自体で,特段の作用効果を奏したものということができるものであって,原告の上記主張も採用することができない。

 

https://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/876/036876_hanrei.pdf

 

【特許★】「マイコプラズマ・ニューモニエ検出用イムノクロマトグラフィー試験デバイス」事件-出願時の技術常識に基づいて、引用文献に製造可能な程度に記載がなく、特許法29-1(3)「記載された発明」に該当しないとして、引用例適格が否定された事例。進歩性〇

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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