平成17年(行ケ)10143【フィルター基材】<中野>

*測定方法に関する明確性要件×
⇒明細書中で有意としている有効桁数を測定可能な条件等を記載する必要あり
~小数第3位までの数値に意味があるが,その小数第3位の値を正確に特定できない。

=H13(行ケ)209(実施可能要件×)

(判旨抜粋)
…特許請求の範囲で規定する「Y/X2」の値は…小数第3位までの数値に意味があるものであるところ,ある試料について「Y/X2」の数値を求めた場合に,その数値の小数第3位に測定誤差が現れてしまうというのでは,その試料が特許請求の範囲に包含されるかどうかを確定することができない事態が生じてしまう…。したがって,「Y/X2」の値は小数第3位までの数値が正確に特定されるものでなければならない…。以上のとおり,「Y/X2」の値が小数第3位までの数値に意味があるにもかかわらず,その小数第3位の値を正確に特定することができないものである以上は,「Y/X2≧0.03」という構成によって本件発明の技術的範囲を明確に表すことはできない。この点において,本件明細書の特許請求の範囲の記載は不明確なものであるといわざるを得ず,本件発明の構成に欠くことができない事項のみが記載されているということはできない。そうすると,本件明細書の記載は法36条5項2号所定の要件を満足していない…。

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/353/009353_hanrei.pdf

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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