令和4年(行ケ)10027【耕耘爪】<東海林>

「略一定の距離」=発明の詳細な説明中の「所定の距離」
⇒明確性要件○

「略同じ位置」~発明の効果(摩耗する偏摩耗の発生を抑制する)を奏する程度の位置であればよく,当業者であればその程度を理解可能である。
⇒明確性要件○

(判旨抜粋)
【請求項1】…取付基部側の端部は、前記縦刃部の刃付け端部と略同じ位置に位置しており、…峰側の端部は…前記縦刃部及び前記横刃部の峰から刃縁側に略一定の距離をおいて峰に沿って延びている…耕耘爪。

…本件発明1の構成1Eの「略一定の距離」という記載も、本件明細書等の段落【0032】及び【0042】の「所定の距離」という記載も、硬質合金部の峰側の端部と、縦刃部及び横刃部の峰との距離について用いられていることからすれば、後者の「所定の距離」は、前者の「略一定の距離」と同じ意味を表すと解するのが自然である。そして、そのように解することによって、本件発明1やその実施例が、本件明細書等に記載された作用効果を奏するものと理解することができる。
…本件明細書等の【発明の効果】に、「本発明によれば…横刃部に対して縦刃部が大きく摩耗する偏摩耗の発生を抑制することができ」(段落【0009】)という記載があることからすれば、上記端部同士が「略同じ位置」といえるかどうかは、それによって、硬質合金部が設けられていない部分を含めて「横刃部に対して縦刃部が大きく摩耗する偏摩耗の発生を抑制する」といえる程度に硬質合金部で縦刃部の刃付け部が覆われるような位置であればよく、その程度も当業者であれば本件明細書等の記載等を勘案して理解することができるものと解される。

https://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/667/091667_hanrei.pdf

 

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
本件に関するお問い合わせ先:h_takaishi☆nakapat.gr.jp(☆を@に読み換えてください。)