令和4年(行ケ)10019【多角形断面線材用ダイス】<本多>

「略多角形」というクレーム文言
⇒課題・効果(開口部の角部に潤滑剤が溜まり難くなること)と直接関係している。
⇒角部にどの程度の丸みを帯びさせたものが該当するか明らかでない。
⇒明確性要件違反(審決取消)

(判旨抜粋)
…(…開口部の角部における潤滑剤のたまりやすさは、当該角部の丸みの曲率半径の大きさのみならず、線材の種類、潤滑剤の種類、加工発熱の度合い等の様々な 要素によって左右されるものであると解され、当該曲率半径が0.3mm程度以下であれば、一律に本件各発明の上記効果が得られないと認めることはできないから、被告の主張を採用することはできない。)。…
特許請求の範囲の記載及び本件明細書の記載によると、本件各発明の「略多角形」とは、本件各発明の効果(開口部の角部に潤滑剤がたまりにくくなること)を得るため、その角部を丸める積極的な処理をしていない開口部につき、その角部の全部又は一部を丸める積極的な処理をした図形をいうものと一応解することができるものの、客観的な形状からは、本件各発明の「略多角形」と「基礎となる多角形断面」とを区別することができず、また、「基礎となる多角形断面」の角部にどの程度の大きさの丸みを帯びさせたものが本件各発明の「略多角形」に該当するのかも明らかでなく、本件各発明の技術的範囲は明らかでないというほかないから、本件各発明の「略多角形」は、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確である…。

https://www.ip.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail?id=5858

 

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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