令和4年(ネ)10052<本多>【医薬】(東和薬品v.興和)
*先行する差止請求事件は特許権者勝訴
平成29年(ネ)10090<高部>先使用不成立
⇒本件は進歩性×
*原判決はサポート要件×

「…が乙12発明の必須の構成であると認めることはできない。…変更することに阻害要因が…ない」

(判旨抜粋)
…控訴人は、乙12発明は「ポリビニルアルコール又はセルロース誘導体をフィルム形成剤として含む材料の層でコーティングされた構成」を必須の構成とするものであり、これを…他のコーティングに変更することは想定されていないから、上記の必須の構成を相違点2に係る本件訂正発明6の構成に変更することには阻害要因がある旨主張する。
しかしながら、…乙12発明の適切な「膜形成剤」は、(環境影響に敏感な)粒子又は活性物質を含む医薬剤形のコアにコーティングの形態で塗布され、環境影響(酸化及び/又は環境湿度等)から活性物質を保護する任意のものであり、最も好ましい「膜形成剤」は、活性物質を酸化から保護する任意のものであるとまず理解され、当該任意の「膜形成剤」のうち好適なものがポリビニルアルコール(PVA)及びセルロース誘導体からなる群から選択されるものであると理解するのが自然であるから、「ポリビニルアルコール又はセルロース誘導体をフィルム形成剤として含む材料の層でコーティングされた構成」が乙12発明の必須の構成であると認めることはできない。したがって、この構成を相違点2に係る本件訂正発明6の構成に変更することに阻害要因があるということはできない。

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/429/091429_hanrei.pdf

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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