令和3年(行ケ)10137【作業機】<東海林>

「展示」(参加者は、触れることは許された)
⇒公然実施品から、外観から認識できない構成要件は開示無し。新規性あり
*追試は信用性×
*展示会出席者のブログは認識不足

触れることで当業者が認識可能であれば、新規性×という枠組み?

(判旨抜粋)
原告は、本件展示会において、本件発明に係る作業機と同じ構造(ガススプリングの向きが逆である点を除く。)を有する検甲1を見た当業者は、力学的な技術常識から構成要件Gの理論的説明を認識できると主張し、構成要件Gは検甲1を見れば認識できるから検甲1は構成要件Gを備えると主張する…。しかし、…エプロンを跳ね上げるのに要する力(Fs)とエプロンの角度に係る…関係に照らすと、…構成要件Gにおける「エプロンを跳ね上げるのに要する力は、エプロン角度が増加する所定角度範囲内において徐々に減少」するとの構成を有しているか否かは、アシスト機構で採用される「ガススプリング」の特性(ストローク長とガス反力の関係等)に依存するものであり、外観のみから認識できる性質のものではない…。…
甲103は、本件訴訟が提起された後…に測定された結果を示すものであり、約6年半前…に開催された本件展示会における検甲1の状態を示すものとは認められない…。…甲103の測定結果は、甲106の2に撮影された作業機の挙動とは整合しないものと認められ、その測定結果に信用性があるとは認められない。…
…本件展示会から約2か月後の…ブログ…には、「バネがキツくて持ち上がらない均平板がラクに持ち上がるようになる…みたいです。」と記載されて…いる。…しかし、これらの記載によれば、アシスト機構によって均平板を持ち上げるのに要する力が軽くなるようにされていたことは窺われるものの、「エプロンを跳ね上げるのに要する力は、エプロン角度が増加する所定角度範囲内において徐々に減少する」ということを体験できたことが記載されていると認めることはできない。

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/384/091384_hanrei.pdf

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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