令和3年(行ケ)10135【スタッファー/フィラーポリヌクレオチド配列を含むベクター】<菅野>

実施例データ不足の数値限定
⇒技術的意義が同一
⇒数値限定が、実質的な相違点でないとされた!!

⇒新規性× !!!!!!!!!!!!!!

【請求項1】…ポリヌクレオチド配列が7.0ないし10.0Kbの長さ…

「『7.0ないし10.0Kbの長さ』という特定の範囲の長さであることには技術的意義がなく、…実質的な相違点とはいえない」

(判旨抜粋)

【請求項1】…該第1の不活性のフィラーまたはスタッファーポリヌクレオチド配列が7.0ないし10.0Kbの長さを有する組換えベクタープラスミド。

ベクタープラスミドのフィラー又はスタッファーポリヌクレオチド配列の長さが「7.0ないし10.0Kbの長さ」という特定の範囲の長さであることには技術的意義がなく、…引用発明においても、バックボーンがAAVのパッケージング許容限界を超えるようにスタッファー配列を改変するものであり、導入遺伝子の長さ(4297nt(約4.297Kb))とこのバックボーン(6980bp(約6.980Kb))に含まれるスタッファー配列の長さが少なくともパッケージング許容限界である4.7Kbを上回るものと理解できるから、本願発明…と引用発明とは、その技術的意義において同一であり、本願発明…において、ベクタープラスミドのフィラー又はスタッファーポリヌクレオチド配列の長さを「7.0ないし10.0Kbの長さ」という特定の範囲の長さにしたことは実質的な相違点とはいえない。…本願発明…のAAV粒子に含まれる残存DNAの量が2.69±0.69pg/109vgよりも更に少ないと直ちに認めることはできないし、残存DNAの量の減少が生じたとしても、その減少がサイズ超過のバックボーンの長さを長くしたことによるものと直ちに認めることもできない…。

https://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/565/091565_hanrei.pdf

 

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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