令和3年(行ケ)10027【情報提供装置】<大鷹>

ネットワークを介して情報処理を行う形態をユーザ端末単独で行う形態に変更することはサービスの内容如何に関わらず設計事項というわけではない。
⇒単独の情報提供装置に変更する動機付けは認められないから、容易想到でない。

(判旨抜粋)
一般的に、情報提供サービスを行う場合において、当該サービスを提供するために必要となる処理をサーバを含むシステム全体で行うことと、当該処理をユーザ端末のみで行うことが、提供するサービスの内容いかんにかかわらず適宜選択可能な事項であるとはいえない。そして、当業者が、ネットワークNを介して接続された学習・生活支援サーバ2と、複数の受講生・生徒が使用するユーザ端末3とを備え、受講生・生徒同士がコミュニケーションをとることのできる甲1発明の「学習・生活支援システム1」において、当該システムで必要となる処理の全てを単独のユーザ端末3で行うようにすることについては、その必要性、合理性が認められない。よって、甲1発明の「学習・生活支援システム1」を単独の情報提供装置に変更することが設計的事項の範疇にあるということはできない。…
甲1の【0022】には、学習・生活支援サーバ2が備える記憶部に記憶されるようにされている各種情報をユーザ端末3に記憶するようにしてもよいとの記載があるにすぎず、学習・生活支援サーバ2が備える他の機能をユーザ端末3に備えることについての記載や示唆はない。したがって、甲1に接した当業者が、甲1発明の「学習・生活支援システム1」の構成全体を単独の情報提供装置に変更することの動機付けは認められないから、相違点3に係る本件発明1の構成を容易に想到することができたものと認めることはできない。…当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない…。

https://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/607/091607_hanrei.pdf

 

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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