令和3年(行ケ)10006【X線検査装置】<菅野>

主副引用例の課題を抽象的に把握して、課題同一
⇒容易想到

「食品等の異物検査を行うX線検出装置である引用発明1…,医療検査や荷物検査を行う引用文献2技術事項…は,X線検査装置が用いられる技術分野として関連する…」

(判旨抜粋)
引用文献2技術事項は,物質に特有な高吸収Ⅹ線を利用することにより,荷物や人体内に隠匿した麻薬,あるいは爆薬や象牙などの禁制品の有無を検査できるものであるから,人体用だけでなく,荷物の中の見えない物体の有無を検査するX線荷物検査装置でもある…。そうすると,食品等の異物検査を行うX線検出装置である引用発明1の技術分野と,医療検査や荷物検査を行う引用文献2技術事項の技術分野は,X線検査装置が用いられる技術分野として関連する…。…引用発明1と引用文献2技術事項との間に,技術分野,解決課題及び作用機能に密接な関連性・共通性がある…組み合わせることに強い動機付けがある…。
…引用発明1が,コンベア搬送路上のワークの金属異物等の混入の有無を検査する異物検査装置であることからして,引用発明1が製品製造現場用の装置であり,引用文献2の記載上は,引用文献2技術事項が直接には医療用検査装置に用いることを想定しているとしても,コストをどの程度かけるかということと技術分野とは直結しないところ,製品の性質,製造現場の規模,製品の販路等も度外視して,製品製造現場用の装置であれば,おしなべて性能の低い製品で足り,当業者は性能の向上には意を払わず,医療検査装置用の技術には関知しないなどとは当然にいえることではな…い。

https://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/649/090649_hanrei.pdf

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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