令和2年(行ケ)10124【裏刷り用溶剤型グラビア印刷インキ組成物の製造方法】<東海林>

*「容易の容易」の問題ではない

「当業者は,…甲1発明1…の原料としてバイオマス由来の成分を用いることを動機付けられる…,甲1発明1に原告が主張するような構成を付加して容易想到性を判断しているものではなく…」

(判旨抜粋)
原告は,相違点2について,…本件決定が甲1発明1に「ポリウレタンウレア樹脂組成物の原料としてバイオマス由来成分を使用する」という構成を付加した上で容易想到性を判断した…論理は「容易の容易」の場合に相当する旨主張する。
しかしながら,…本件優先日当時,印刷インキの技術分野においては,製品のバイオマス度を10質量%以上に高めることが一般的な課題とされていたものであり,当業者は,このような状況の下で,甲1発明1のポリウレタンウレア樹脂組成物の原料としてバイオマス由来の成分を用いることを動機付けられるものであり,その上で,当該成分としてバイオマス由来のセバシン酸を用いることを動機付けられるものといえるところ,このような検討の内容に照らすと,甲1発明1に原告が主張するような構成を付加して容易想到性を判断しているものではなく,また,その論理がいわゆる「容易の容易」の関係に立つものでもないというべきである。

 

「容易の容易」の射程範囲(第三の公知文献の位置付け) (jpaa.or.jp)

090731_hanrei.pdf (courts.go.jp)

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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