令和2年(行ケ)10150号【エクオール含有大豆胚軸発酵物】<森>

⇒委任省令要件違反なし

特許法施行規則24条の2は,「発明の詳細な説明の記載」に係る規定…発明の技術上の意義を理解するために必要な事項が「発明が解決しようとする課題」の項目に記載されている必要はない。

【(訂正後)請求項1】 発酵物の乾燥重量1g当たり,8mg以上のオルニチン 及び1mg以上のエクオールを生成…製造方法

(判旨抜粋)
…原告の主張は,本件明細書の【表3】においてアルギニンからオルニチンへと100%(変換率約159%)を優に超える変換がなされていることを前提とするものであるところ,…発酵原料及び発酵条件が異なる。そして,発酵原料や培地中の固形成分の含有量により発酵物の乾燥重量が大きく変化し得るので,発酵原料が変わると乾燥重量1g当たりのオルニチンの量も変化するから,発酵原料として大豆胚軸溶液を用いた場合と豆乳を用いた場合で発酵物の乾燥重量1g当たりのオルニチンの産生量は大きく変化し得る。また培養条件が異なるとアルギニンからオルニチンへの変換率も異なり得る。そうすると,甲1の試験例におけるオルニチンの産生量を推定するに当たって,本件明細書の【表3】を前提とすることが相当であるということはできない。…甲1の試験例では培地とするBHIブロスの組成が特定されていない以上,甲1発明においては,発酵物の乾燥重量1g当たり8mg以上のオルニチンが産生されるとは限らない…。そうすると,甲1発明は「発酵物の乾燥重量1g当たり8mg以上のオルニチンを産生するもの」であるということはできない。

https://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/780/090780_hanrei.pdf

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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