令和2年(行ケ)10142【ロール製品パッケージ】<森>

「消費者が指を引っ掛けている部分は破れる可能性が高い…このような破れる可能性の高い部分のフィルムを破れにくいものとすることを課題としていないということは不合理である」
*発明の課題を具体的に認定した!!
サポート要件×

(判旨抜粋)
…「フィルムが破れにくい」という課題を,フィルム及びロール製品を本件発明の数値限定の範囲のものとすることによって解決したことは,本件発明にとって欠かすことができないものであり,これについて発明の詳細な説明の記載及び技術常識により当業者が解決することできると認識できる範囲のものと認められないときは,サポート要件に反する…。…
原告は,本件発明は,包装袋以外の部分の破れ,例えば,持手部の破断の防止までを目的とするものではないと主張するが,…ガゼット包装パッケージを消費者が運搬する場合,持手部に設けられた指掛け用の穴のうち,消費者が指を引っ掛けている部分は破れる可能性が高いのであるから,本件発明において,このような破れる可能性の高い部分のフィルムを破れにくいものとすることを課題としていないということは不合理である。…
本件官能評価によって,本件ロール製品パッケージを持手部を持って運搬する際に本件接合部分のフィルムが破れにくいといえても,持手部のないキャラメル包装パッケージを原告把持方法によって運搬する際にも,本件接触部分のフィルムが破れにくいということはできない…。

https://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/538/089538_hanrei.pdf

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
本件に関するお問い合わせ先:h_takaishi☆nakapat.gr.jp(☆を@に読み換えてください。)