令和2年(行ケ)10103【多色ペンライト】<東海林>

 

*審決は、主引用例に内在する課題の認定を誤った。

 

*主引用例の「演色性」と副引例の「演色性」とは異なる意味。

⇒動機付けの根拠とならない。

 

『本件審決が甲1発明の課題に関して認定する「演色性」…は,甲2に記載された技術事項として認定された「演色性」,すなわち,照明された物体の色が自然光で見た場合に近いか否かという,一般的な意味での「演色性」とは異なる』

 

 

(判旨抜粋)

…甲1に,「イエロー」とされる黄色の発色自体に問題が内在しているという課題が示されていると認めることはできない。…

甲1発明と甲2に記載された技術事項は,技術分野が完全に一致しているとまではいえず,近接しているにとどまるから,甲1発明に甲2に記載された技術事項を採用して本件発明1を想到することが容易であるというためには,甲1発明に甲2に記載された技術事項を採用するについて,相応の動機付けが必要である…。

本件審決は,甲1発明に甲2に記載された技術事項を採用する動機付けがあり,甲1発明に甲2に記載された技術事項を採用して本件発明1を容易に想到することができたと判断する前提として,甲1発明に,「イエロー」とされる黄色の発色自体に問題が内在しているという課題があり…,甲1発明に,演色性を向上させるという,甲2と共通の課題があると認定した…。しかし,…甲1発明に,「イエロー」とされる黄色の発色自体に問題が内在しているという課題があるとする本件審決の認定は誤りであるし,また,本件審決が甲1発明の課題に関して認定する「演色性」…は,甲2に記載された技術事項として認定された「演色性」,すなわち,照明された物体の色が自然光で見た場合に近いか否かという,一般的な意味での「演色性」とは異なる…。そうすると,本件審決は,甲1発明に甲2に記載された技術事項を採用する動機を基礎づける甲1発明の課題の認定を誤っているものであり,…甲1発明に甲2に記載された技術事項を採用する動機付けがあるとは認められない。

 

 

 

 

090618_hanrei.pdf (courts.go.jp)

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
本件に関するお問い合わせ先:h_takaishi☆nakapat.gr.jp(☆を@に読み換えてください。)