令和2年(行ケ)10075【包装体】<森>

 

*技術分野の共通性のみを根拠として、引用発明同士の組合せの動機付けを認められない。

 

*引用発明の課題を具体的に認定した。

 

「…技術分野の共通性のみを根拠として動機付けがあるとしているに等しく,動機付けの根拠としては不十分」

 

 

(判旨抜粋)

甲1発明と甲3に記載された発明は,課題においてもその解決手段においても共通性は乏しいから,甲3記載事項を甲1発明に適用することが動機付けられているとは認められない。…

被告は,甲1発明と甲3記載事項は,熱収縮という作用,機能が共通する旨主張するが,熱収縮は,通常,弁当包装体が持つ基本的な作用,機能の一つにすぎないことを考慮すると,被告の上記主張は,実質的に技術分野の共通性のみを根拠として動機付けがあるとしているに等しく,動機付けの根拠としては不十分である。以上によると,甲1発明において,熱収縮性フィルムとして,甲3記載事項で示される熱収縮性フィルムを適用する動機付けがあると認めることはできない。

 

https://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/112/090112_hanrei.pdf

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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