令和2年(ネ)10045【ドットパターン】<菅野> サポート要件×、補正要件×(新規事項追加)

 

*明細書中の開示が、クレームアップされた発明と整合する(矛盾なく解釈できる)だけでは記載として不足である…

⇒そのような構成としたものと理解すべき記載となっている必要がある!!

⇒サポート要件×(請求項3)

 

 

*相容れない2つの実施例を組み合わせてクレームアップした補正が、新規事項追加と判断された。(請求項1)

=平成25年(行ケ)10346【水晶発振器の製造方法】<石井>

=平成28年(行ケ)10257【携帯情報通信装置】<森>

 

 

(判旨抜粋)

<サポート要件違反の部分>

…確かに,ドットパ ターンの方向を意味するドット又はドット群を設けてこれらを非回転対称の配置にすればドットパターンの向きを認識できることは明らかであり,また,図5ないし8に記載された「x,y座標フラグ」又は「一般コードフラグ」は非回転対称の位置に配置されているとはいえるから,これをドットパターンの向きを意味するドットとして兼用することも可能である。しかしながら,本件明細書3は,そのような構成としたものと理解すべき記載となっておらず,「本来の位置からのずらし方」としてどのような選択に従い本件発明3を構成したのかがそもそも記載されているとはいえない…。

 

 

<新規事項追加の部分>

控訴人の主張によれば,本件補正1①部分は図105ドットパターンに基づくものであり,同②部分は図5ドットパターンに対応するものとなるから,本件補正1はこれら両パターンを組み合わせたものとなる。…両ドットパターンは,相容れない情報の定義方法を用いているのであり,両ドットパターンの組合せは全く新たな情報の定義方法を創作することにほかならない。

 

 

 

090069_hanrei.pdf (courts.go.jp)

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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