令和1年(ネ)10057【タンパク質を抽出する混合液】<大鷹>

 

*「抽出」の意義が、2層に分離することと解釈された。

⇒非充足

 

(判旨抜粋)

本件明細書の【0026】中に,「タンパク質含有層中の水性溶媒に対するタンパク質の割合が,抽出対象液中の水性溶媒に対するタンパク質の割合よりも高ければ,抽出対象液からタンパク質が抽出されたと言える。」との記載があるが,上記記載は,タンパク質含有層中の水性溶媒に対するタンパク質の割合が,抽出対象液中の水性溶媒に対するタンパク質の割合よりも高い場合には,抽出対象液からタンパク質が抽出されたと評価できることを述べたものにすぎず,構成要件Bの「タンパク質を抽出する」にいう「抽出」が,かかる場合に限定されることを述べたものと理解することはできない。…

本件発明の特許請求の範囲には,「タンパク質を抽出する」にいう「抽出」の意義や方法について規定した記載はない。…

…本件明細書の記載を総合すると,構成要件Bの「タンパク質を抽出する」にいう「抽出」とは,タンパク質,水性溶媒等を含有する抽出対象液を少なくとも2層に分離させ,タンパク質含有層が形成されることを意味するものと解される。…

被告製品が添加された「抽材」が,被告製品によって,2層に分離し,下層にタンパク質含有層が形成されたものと認めることはできず,被告製品は…「タンパク質を抽出する」ことができるとの構成を有するものと認めることはできない。

 

 

 

 

=【原審】東京地判平成29(ワ)41474【タンパク質を抽出する混合液】<田中>

 

(判旨抜粋)

「タンパク質を抽出する」混合液において,その含有される界面活性剤の程度は,分離等された対象物質から界面活性剤を除去する工程が不要である程度を限度とするもの…と解する。

⇒非充足

 

089940_hanrei.pdf (courts.go.jp)

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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