令和2年(ネ)10025【発光装置、等】<森>

 

*大合議判決の規範を踏襲し、特許製品(LED)ではなく、被告製品(テレビ)を基準に、特許法102条3項の損害額が計算された。

⇒1億3200万円認容

 

*原審(平成29年(ワ)27238<柴田>)は、LEDの売上げを基準として、約1795万円であった。

 

(判旨抜粋)

ア 実施料率を乗じる基礎(ロイヤルティベース)について

(ア) 前記(1)で特許法102条3項について指摘した点に加え,①本件LEDは直下型バックライトに搭載されて一審被告製品に使用されていたところ,直下型バックライトは,液晶テレビである一審被告製品の内部に搭載された基幹的な部品の一つというべきであり,一審被告製品から容易に分離することが可能なものとはいえないこと,②LEDの性能は,液晶テレビの画質に大きく影響するとともに,どのようなLEDを用い,どのようにして製造するかは製造コストにも影響するものであること,③一審被告は,後記イのとおり,本件LEDの特性を活かした 完成品として一審被告製品を販売していたもので,一審被告製品の販売によって収益を得ていたこと等に照らすと,一審被告製品の売上げを基礎として,特許法102条3項の実施料相当額を算定するのが相当である。…

液晶テレビである一審被告製品は,本件LED以外の多数の部品から成り立っており,上記(ア)の実施料率をそのまま適用することは相当ではないが,…本件発明1~3の技術は,液晶テレビのバックモニタ用の白色LEDとして,大きく活かされるものであったということができる上,一審被告製品は,映像美を一つのセールスポイントとするなどして,売れ行きは好調であった…のであるから,一審被告製品の売上げに対する本件発明1~3の技術の貢献は相当に大きいものであり,…白色LEDの価格等に係る事情を考慮しても,…一審被告製品の売上げを基礎とした場合の実施料率は,0.5%を下回るものではないと認めるのが相当である。

 

https://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/853/089853_hanrei.pdf

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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