東京地判平成24年(ワ)14227【p型窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法】<高野>

 

★「不純物」の許容範囲は、発明の効果を妨げない範囲

 

*「実質的に含まない」⇒微量に含むが充足

https://courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/218/084218_hanrei.pdf…

Cf.東京地判H12(ワ) 22926は非充足

 

Cf. 東京地判H12(ワ) 12193は「含まない」で微量を非充足

 

 

(判旨抜粋)

 

【請求項1】 …実質的に水素を含まない雰囲気中,…アニーリングを行い,…水素を出すことを特徴とする…半導体の製造方法。

 

アニーリング雰囲気中にNH3,H2等の水素原子を含むガスを使用したりキャップ層に水素原子を含む材料を使用することは,p型不純物に結合した水素原子を熱的に解離するというp型のための反応が進行せず,上記作用効果を奏しないことがあるので好ましくないとされるが,逆に,p型不純物に結合した水素原子を熱的に解離するというp型化のための反応が進行して,上記作用効果を奏することもあると考えられることから,アニーリング雰囲気中にNH3,H2等の水素原子を含むガスを使用したり,キャップ層に水素原子を含む材料を使用することが排除まではされていないということができる。

そうであれば,構成要件Bの「実質的に水素を含まない雰囲気」とは,このような作用効果を奏するような雰囲気,言い換えれば,アニーリングにより低抵抗なp型窒化ガリウム系化合物半導体を得ることの妨げにならない程度にしか水素を含まない雰囲気を意味するものと解するのが相当である。

 

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/218/084218_hanrei.pdf

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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