令和1年(ワ)25152【コメント配信システム】<國分>(ドワンゴv.FC2)

 

*物の発明の「生産」に当たるためには、特許発明の構成要件の全てを満たす物が、日本国内において新たに作り出されることが必要

 

⇒日本国内における「生産」無し

 

⇒構成要件充足するが、非侵害!!

 

 

(判旨抜粋)

…物の発明の「実施」としての「生産」(特許法2条3項1号)とは、発明の技術的範囲に属する「物」を新たに作り出す行為をいうと解される。また、特許権の効力が当該国の領域内においてのみ認められることを意味する属地主義の原則(最高裁平成7年(オ)第1988号同9年7月1日第三小法廷判決・民集51巻6号2299頁、最高裁平成12年(受)第580号同14年9月26日第一小法廷判決・民集56巻7号1551頁参照)からは、上記「生産」は、日本国内におけるものに限定されると解するのが相当である。したがって、上記の「生産」に当たるためには、特許発明の構成要件の全てを満たす物が、日本国内において新たに作り出されることが必要であると解すべきである。…「サーバ」は…目的を実現する構成として重要な役割を担うものというべきである。この点からしても、…ユーザ端末のみが日本に存在することをもって、「生産」の対象となる被告システム1の構成要素の大部分が日本国内に存在するものと認めることはできない…。…

被告サービスにおいては、日本語が使用可能であり、日本在住のユーザに向けたサービスが提供されていたと考えられ、…日本法人である被告HPSが、被告FC2の委託を受けて、被告サービスを含む同被告の運営するサービスに関する業務を行っていたという事情は認められるものの、…米国法人である被告FC2が本件特許権の侵害の責任を回避するために動画配信用サーバ及びコメント配信用サーバを日本国外に設置し、実質的には日本国内から管理していたといった、結論として著しく妥当性を欠くとの評価を基礎付けるような事情は認められない。…

…被告システムは本件発明の技術的範囲に属すると認められるものの、…本件特許が登録された令和元年5月17日以降において被告らによる被告システムの日本国内における生産は認められず、被告らが本件発明を日本国内において実施したとは認められないから、被告らによる本件特許権の侵害の事実を認めることはできない。

 

 

091124_hanrei.pdf (courts.go.jp)

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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