【中国】最高人民法院2021年5月25日判決<(2020)最高法知民終746号>

「最高人民法院情報ネットワーク伝達権侵害に係る民事紛争事件の審理における法律適用の若干の問題に関する規定」第15条
=「…侵害行為地と被告の住所地が・・・外国にある場合,原告が侵害に係るコンテンツを発見したコンピューター端末などの機器の所在地は,侵害行為地と見なすことができる。」

(本判決)「サーバーの所在地は,侵害行為地を判断するための唯一の要素ではなく,要素の一つにすぎない。侵害行為地には,侵害行為の実施地と侵害結果の発生地が含まれる。中国の法律で保護されている特許権については,特許権侵害行為の実質的な構成の一部または侵害結果の一部が中国の領土内にある場合,侵害行為地が中国の領土内であると判断できる。
・・・なお,侵害行為地をサーバーの所在地のみで判断すると,不足がある。インターネットのグローバル性から,ネットワークデータの送受信及び相互作用は国際的である。インターネットに係るコンピュータプログラムを含む方法・システム特許の場合,データキャリア,つまり,被疑侵害サイトのサーバーがどこにあるかということだけで被疑侵害行為の実施地を判断すると,このような特許の権利範囲は厳しく制限され,このような特許を実質上実施した侵害者は侵害責任の回避が非常に容易になる。その結果,このような特許に対する法律の保護がなくなる虞がある。よって,サーバーの所在地は,被疑侵害行為の実施地を判断するための唯一のまたは中心的な要素として考慮すべきではない。」⇒侵害成立。(AIPPI会報(2023)Vol.68 No.2 P13の日本語訳引用)

※判示理由と上掲規定が存在することから、有体物の中国内への送付は射程範囲外か。

 

 

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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