自白③

 

平成20年(行ケ)10235【ペンタフルオロエタンとジフルオロメタンの共沸混合物様組成物】

 

*「自白」の成否

 

「…との文言の意味内容,解釈等に関する主張が審決取消訴訟における主要事実に当たり,かつ,審決取消訴訟に弁論主義が適用されるべきであったとしても,…上記主張自体が許されないものではない。

 

(判旨抜粋)

(請求項1)約1.0~約50.0重量%のペンタフルオロエタンと約99.0重量%~約50.0重量のジフルオロメタンとを含み,32°Fにて約119.0 psiaの蒸気圧を有する共沸混合物様組成物

 

…「約119.0 psia」の蒸気圧の意味につき,審決は「119.0±0.05 psia」であると認定しており,原告も,同認定を争っていなかったところ,被告は,上記「約119.0 psia」が「119.0±0.05 psia」を意味することにつき自白が成立したと主張する。その後,原告が,…本件発明に係る「共沸混合物様組成物」の蒸気圧の範囲に幅があるという主張をしたため,被告は,原告による同主張が上記蒸気圧の範囲について成立した自白の撤回に当たるとして,このような自白の撤回は許されず,信義則にも反する旨主張する。しかし,そもそも,原告が…「約119.0 psia」の範囲につき新たな主張をしたものとは認められないので,仮に,「約119.0 psia」との文言の意味内容,解釈等に関する主張が審決取消訴訟における主要事実に当たり,かつ,審決取消訴訟に弁論主義が適用されるべきであったとしても,原告による上記主張自体が許されないものではない。

 

https://www.ip.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail?id=2085

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
本件に関するお問い合わせ先:h_takaishi☆nakapat.gr.jp(☆を@に読み換えてください。)